「名刺は両手で」「相手より低く」…謎のビジネスマナーはいつできた?
ややこしすぎる名刺交換ルール
日本のビジネスパーソンにとって、名刺交換は避けて通れない儀式です。
「名刺は両手で受け取る」「相手より先に、相手より低い位置で差し出す」「受け取った名刺はすぐにしまわず、テーブルの上の自分から見て左側に、役職順に並べる」…。 新入社員の時に叩き込まれるこれらの細かいマナー。実は、昔からある伝統的な日本の礼儀作法……ではありません。
実は「昭和後期〜平成」に作られたもの
名刺自体は江戸時代から存在(和紙に名前を書いたもの)していましたが、現代のような細かい「名刺交換の作法」が確立されたのは、なんと1980年代(昭和の終わり)以降、特に1990年代(平成初期)に入ってからだと言われています。
高度経済成長期を経て、日本のビジネスシーンが急拡大し、「新入社員向けのビジネスマナー研修」というビジネス(コンサルティングやマナー講師の仕事)が盛んになりました。 そこで、「教えるためのコンテンツ」として、より細かく、より厳格なルールが後付けで次々と創作されていったというのが有力な説です。
つまり、マナー講師が研修の価値を高めるために「こうするのが正しい作法だ」と定義したものが、いつの間にか絶対のルールとして社会に定着してしまったのです。
海外から見ると「奇妙な儀式」
ちなみに、海外(特に欧米)では名刺はあくまで「連絡先が書かれたただの紙切れ」という扱いです。 片手でサッと渡し、受け取った相手もその場でポケットや財布にポイッとしまうのが普通です。(日本のビジネスマンがそれを見ると顔面蒼白になりそうですが…)
もちろん、相手に敬意を払う心は大切ですが、「相手より1ミリでも低く出さなきゃ!」と神経をすり減らしているそのルールは、実は最近作られたローカルルールに過ぎないということを知っておくと、少し気が楽になるかもしれませんね。